慶應義塾大学先端生命科学研究所の福田真嗣特任教授(順天堂大学大学院医学研究科細菌叢再生学講座特任教授・神奈川県立産業技術総合研究所腸内環境デザイングループグループリーダー・JST ERATO副研究総括を併任)と、東京大学医科学研究所の一戸猛志准教授、順天堂大学大学院医学研究科総合診療科学の内藤俊夫教授らによる研究グループは38℃以上に上昇した体温(発熱)が腸内細菌叢の活性化を介して二次胆汁酸量を増加させ、ウイルス性肺炎の重症化を抑制することを分子レベルで明らかにしました。本研究成果は2023年6月30日、英国科学雑誌「Nature Communications」オンライン版に掲載されました。
<研究成果のポイント>
- 36℃で飼育したマウスでは体温が38℃を超えるようになり、インフルエンザウイルスのみならずSARS-CoV-2の感染に対しても高い抵抗力を獲得した。その抵抗力には体温ではなく、発熱により温められた際の腸内細菌叢の活性化が重要だった
- 22℃で飼育したマウスと36℃条件下で飼育して体温が38℃を越えたマウスの盲腸内容物や血清のメタボローム解析を行ったところ、体温が38℃を越えたマウスの盲腸内容物ではデオキシコール酸が、血中ではデオキシコール酸やウルソデオキシコール酸などの二次胆汁酸量が有意に多かった
- 22℃で飼育したマウスにデオキシコール酸やウルソデオキシコール酸を経口投与すると、インフルエンザウイルス感染後の生存率が有意に改善した。また同条件で飼育したハムスターに同様にデオキシコール酸を経口投与すると、SARS-CoV-2感染後の生存率が有意に改善した
- COVID-19患者から採取した血液サンプルを解析したところ、胆汁酸レベルが軽症患者グループと比較して中等症Ⅰ/Ⅱ患者グループで有意に低下していた
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<論文情報>
【論文タイトル】
High body temperature increases gut microbiota-dependent host resistance to influenza A virus and SARS-CoV-2 infection
【掲載誌】
Nature Communications
【掲載日】
2023年6月30日
【DOI】
10.1038/s41467-023-39569-0
【リンク先】
https://doi.org/10.1038/s41467-023-39569-0
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